外資系OLからの転身
半年ほど前、youtubeの番組で、宇佐美なつさんを初めて知った。”外資系の企業からストリッパーに転身”した彼女は、ストリップに何を見出したのか?
ストリップ劇場に行かれたことあります?
新卒で入社した金融系の会社では、部署で毎年温泉旅行をしていました。会社の慰安旅行以外で年にもう1回、その部署で旅行に行く。
温泉旅行では、ストリップの派遣を依頼するのが恒例。宴会の中盤に幹事の司会でショーが始まり、異常な盛り上がり。
職場の仕事モードをすべて脱ぎ捨てて、あらわな男どもが乱れて一体感を共有する。そんな時代がありました。職場の先輩には、浅草ロックに定期的に通ている人もいた。
芸術家の横尾忠則さんの著書にも、ストリップに一時期 横尾忠則さん ご自身が通ったということが書かれています。
世界的な芸術家がストリップに何かを感じた、魅せられた。
実は、私も30歳の頃、ストリップにはまったことがあります。バブルの前、コンセプトの異なる様々な劇場に通いました。
後で知ったのですが、あるストリップ興行師のアイデアでストリップ劇場は全盛期を迎えていたようです。ある意味タイムリー。
そんな全盛期に、新宿・上野・浅草・蕨・栗橋・大宮・西川口などの劇場に通いました。女性の肢体の美しさ、巧みに男の本能を甚振る踊りの流れ。体の動き。
女性との精神的な距離感があるとストリップはワクワクする。見て応援する以外の行為はご法度。うぶな男性だからハマル。
うぶを通り越した男性にはものたりない。その分料金はリーズナブル。
半年ほど前、youtubeの番組で、宇佐美なつさんに興味を抱き、ショーを観たい!と思った。理由はわからない。
何か月も公演スケジュールを調べ、やっと8月1日、蕨ミニ劇場を訪問しました。
受け入れるやさしさ
久々の蕨ミニ劇場は大盛況。全盛期のストリップ劇場と似た雰囲気がありました。客同士が知り合いで雑談をそこかしこでしている。
踊り子さんはどなたもやさしい。お客さんを癒したいオーラがある。作り笑顔ではないまなざしが皆優しかった。
踊り子さんと常連さんが取り持つ雰囲気なのだろう。踊っているときの雰囲気と写真撮影中の声のギャップ。写真撮影は1枚500円。
冴えない劇場では、一人も写真を撮影しないこともある。けれど、何人も写真を撮り、お気に入りの踊り子さんと話しをしている。
会社仲間と居酒屋で飲みながらはしゃぐ。カラオケ店で発散する。ソーではない他人の人情が交差する場所。
ソコがストリップ劇場なのだ。
妖艶ではない
宇佐美なつさんは最後のステージ。女子中生のセーラー服でボーイッシュな振り付け。脚が太いというのが第一印象。
体のバランスで太ももが太すぎると感じます。何か中学生のクラスにいた愛らしいクラスメートを思い出し、クラスメートの男子に笑顔でほほ笑むというイメージの踊り。
その日のどの踊り子さんにもない、何か突き抜け感がある。
心底ストリップを愛し、苦労や苦しさを微塵も感じさせない笑顔、眼が可愛らしい。
女性のエロス、妖艶という部分であれば、他の踊り子さんに強く感じるところがあった。宇佐美なつさんには私には妖艶さは感じなかった。
でも、何か突き抜けている。仕事を通り越し、仕事によって、仕事を超えた、仕事ではない何かを突き進むエネルギーがある。
それは、社会でだんだんと無くなりつつあるストリップ劇場と人の人情味。
宇佐美なつさんは胸が細く、ウエストが絞りつくした極限の美しさ。
脚の太さは、踊りで動きを支えるために鍛えた結果とわかった。プロ中のプロ。
とてつもない集客力
踊りの途中で付けまつげが取れたらしい。どこかに飛んで行ったよう。なので、”写真撮影は顔禁止”、という場を和ませた冗談は少し関西弁。
宇佐美なつさん目当ての客ばかりなのかはわからなかった。でも追っかけがいる。2回目で蕨の公演は終え、別な劇場に行くらしい。
その劇場に行くと言っている客がいた。
アイドルさながらの人気。
職を得て、そこからやりたい仕事を見つけ転身する、という人がいます。
世界的な映画監督の河瀨直美さんも一時ストリップにはまった人。ストリッパーの映画を撮影したことがあったと記憶する。
ストリッパーは女にしかできない。その女の性で最大限のパフォーマンスを披露すると何かが発火したのを見た。
妖艶でもないし、艶っぽく美しいのでもない。どちらかというの体育会系の健康美に近い気がした。
彼女にしか感じ取れないものがある気がする。
飽くなき挑戦のエネルギーに男たちは引き寄せられている。警察に検挙される劇場もある昨今だけれど、合法内。あからさまに「行ってきます!」と言えるほどあからさまに言えないグレーゾーン。
たまには、というか一度は宇佐美なつさんを観に行く価値があります。
今しかない!今が旬。タイムリー。そうした臭い、時代感が私にはあるので・・・。
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