自分主体で主義は無し
2020年にかなりYoutubeで話題となった本。著者の石井あらたさんはYoutube配信もしているので、当時、動画でお顔を拝見しています。
ブログも運営されているので拝読し、面白い発想の人だと思いました。「そんなことをしていてもいつか年を取る。その時に立ち行かなくなる。」といった山奥ニート活動への批判的なコメント。
「ぼくらはすでに老後を生きている。」という石井あらたさんの言葉には、対抗する強い意志などはなく、限りなく脱力した自己状態観察によって、批判者を超越しているフー感が爽快だった。
思えば私も似たように考えていた時期があります。30歳前半のころ、5年間勤めた会社を辞めて東南アジアや中東で森林破壊の現状や戦争の街を見ていた。
だからといって、運動したり伝えることに奔走したいとは思わなかった。生きてゆく価値のあることが世の中には欠片もない。はやく年を取って余生を送りたい、ソー思った。
世の中が捨て去った身分=ニートを「ニート上等!」と逆手にとって、楽に、痛みなく、放たれた人が野良犬として、でも日々模索しながらいい状態の集団生活をエンジョイし続ける。
ソコには社会的な意義などはない。ただ、硬い言い方をすると実績だけは残す。
「こんな感じで放たれた人たちはかなり優雅に遊び続けながら過ごしてきました。」と、そして、似たような暮らしをする人は増えてゆくように私も思う。
山奥ニートとパラサイトの違い
親の実家で引きこもる若者をパラサイトと言うけれど、山奥ニートとは何が違うのだろうか?山奥ニートは月18000円の生活費を支払う為に、たまにバイトをして稼ぐ。食事も自分たちで月に2回程度自分の持ち回りで作る。
一緒に映画を見ることもあるし雑談をして溜まることもあるけれど、そんな気分がないときには自室にこもる自由がある。
パラサイトには自立心はないし他の人との関わりもない。けれど、していることはホボおんなじ。漫画を読んだり、ゲームを一日中したり、映画を観たり。
世のほとんどを支配している価値観から眺めると、生産性はないし、社会をよりよくしたいとか、目的がない、と見える。
私も1年間パラサイト=引きこもりをしていた時期がある。何かをしたい希望がない。その頃に山奥ニートというものがあって、その存在を知ったとしても、ソコに行きたいとは思わなかったと想像する。
自立心がある分山奥ニートのほうが活動的に思えるけれど、居場所がある、という点であれば、パラサイトには居場所があり、山奥ニートにはそんな居場所がなかったのかもしれない。
そもそも今の世の中を動かしているものは大したものではないし、世の成功も「だから何?」と言う新たな価値観がその先にあるのが山奥ニ-ト。
パラサイトはたぶん、できれば成功したい、でもできない、何もしたくない。隠れていたい。
この2つの生き方は、人生の避難場所としてあって良いと私は思う。人はどのように生きても良いからだ。
だって、剣豪宮本武蔵さんだって、一時期は山奥ニートしていたんですしね~。
単色染めの世の中でも幸福感は10人十色
都会の話。コンビニがあって生活物資がすぐ手に入る今の時代、結婚だけが農家の嫁風のまんま。結婚はステータスになり、生きてゆくために必要な労働力の確保ではなくなったのに。
子育てを社会が主体で行えると、子供は確実に増え少子化問題はなくなる。結婚して同居する意味は子育てから解放されると無くなる。
結婚して別居することが、今の現代でのストレスフリーな結婚の在り方だと私は思う。
でも、結婚すると同居したり、家族になったりすることが当たり前。サザエさんのような2世代同居で波平さんとふねさんには子供と孫がいる家族。
コンビニはなく、飲食店は必ず20時には閉店し、正月とお盆にはどのような業態の店も休んでいた時代であり、農業を生業としていた名残のなる昭和独自の価値観。
そんな家族って現在でも誰かが望んでいるのでしょうか?
平成や令和生まれの人々が心底望んでいるとは思えない。結婚していても、ひとりひとりが自分の価値観のまま一人を生きる。
石井あらたさんは結婚しているけれど、基本別居。時代の自然な流れのように思えてならない。私にとっては理想的な夫婦に思えてならないのです。
賃料がかからない生き方
山奥ニートを石井あらたさんは自分から率先して仕掛けたのではありません。その山側に発起人がいて、その人の指に止まった。
小学校の分校の校舎を無料で使用しているので家賃はかからない。自給自足もホボしていない。仲間が病気になれば、車を持っている人が病院まで移送する。
ひとりの生活費は月に18,000円。
ただし、ひとりであるとその金額ではすまない。20人程度の同居人がいることで、低価格で悠々自適な生活をしている。
日本の生活保護費用は月に13~15万円程度。その10分の1程度の費用で生活ができている現実って衝撃的です。
物欲はなく、食べ物にこだわりがない。将来不安がない。ある程度の健康体とある程度のコミュニケーション能力。暇な時間を過ごせる好きなこと。
そんな山奥ニート適応性があるかたにとって、家賃や住宅費用が必須と思われている世の中でも、ソコを無視して生きる術はどこかに必ずあるのです。
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