”異邦人”と母の退院と

読書とその周辺

カミュの”異邦人”を繰り返し読むというひとがいた。小説はご無沙汰だったけれど、突然に読んでみたくなって読んでいます。

同じ本を繰り返し読む。すると、感じ方が変わる、深まる。

新宿紀伊国屋書店本店。文庫コーナーで棚を探すとない。手前の平置きに”異邦人”を見つける。平置きは人気がある本であるということ。

本を速読で読み短時間に大量に知識を吸収する方法”高速大量回転法”は小説には向かないナと思いながら、繰り返し繰り返し意味を感じ取ろうと読んでいます。ゆっくり。まだ読み終えていません。

”異邦人”は母親の死がテーマになっている。

だから、今読みたかったんだな、とそんな偶然の引き寄せを感じています。

この2022年11月10日に急性肺炎で老人ホームから救急車で病院に入院。酸素吸入に点滴の治療で89歳の母は回復し明日老人ホームに戻ります。

この数か月、対面で顔を見て話しをしたことがない。コロナ感染対策のために。久しく会う事ができないうちに母は認知症を発症し、急にボケた。

新しく買い替えた携帯電話の扱い方がわからない母に毎週電話をしてみる。やっぱり出ない。

明日の退院。さいたま市民病院から老人ホームまでは介護タクシーでゆく。ストレッチャーで寝かされた母と一緒に病院から介護タクシーに乗り込み、老人ホームまで同乗する。

もしかすると、向う数か月だろうか?

コロナが終息して老人ホームで面会が再開されるまで、母の近くにいられることはない。近くにいられる唯一の時間になるかもしれない。もしかすると、最期かもしれない。

搬送時に着ていたもの、そのままの衣類で帰すと担当看護師と電話で打ち合わせをしました。

どのようなものを着て救急車に乗ったか知らない。

その、搬送時に着ていたものを着て母は老人ホームへ介護タクシーで戻る。自宅には二度と戻れない。

言ってみると、他人の家から他人の家。帰宅ではない。ホームではない違和感がどちらにもあるに違いない。

寒いだろうか?

なにか羽織るものでももってゆくことにしています。

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