行き止まりの世界に生まれて ビン・リュー監督作

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スケボーは麻薬

有料サイトで本映画が紹介され、「オバマ大統領が絶賛・・」と知り、勇んで、田端のミニシアターに今年の3月に観に行きました。退廃し落ちぶれた町に住む。うまくいていない親の家庭に育った少年たちが唯一生きてる実感を取り戻すのがスケボー。

つるんで、都会のいたるところを違法にスケボーでジャックする。スケボーをしたことはないし、したいと思ったことも私にはありません。彼らの気持ちはわからない。

先日職場付近、ビルの禁止区域でスケボーを違法に行って撮影している。その彼を撮影している2人組を観ました。youtube動画の撮影なのでしょう。

映画にもどります。10代の少年にスノボーを教えたのは、スケボーショップのオーナー。

ショップオーナー
ショップオーナー

スケボーで自由は得られる!

負の連鎖から逃れるように

スケボーの仲間たちはみんな、家庭に問題がある。本作の監督のビン・リューは中国系アメリカ人で母親は1度離婚し再婚した。

その再婚の夫、ビン・リューの父親から虐待・暴力を受けてきた。その母を実の子であるビン・リューがインタビュー。実の子を守ってほしかった。彼が、この映画を撮影し公開した目的はこの母へのインタビューにある。

ビン・リューのスケボー仲間(ザック、キアー)もみんな家庭で暴力を受けている。理不尽な親からの暴力・虐待は支配下の子に向かう。

アメリカのラストベルトには良い仕事がない。社会が企業が退廃すると、上流域から下流域に理不尽な何かが流れてゆく。

はけ口にその汚物は流し込まれ、いつしか、理不尽な親の暴力となり、その子が虐待を受ける。辛い生活の中で唯一自由がスケボーにだけあった。

ザック
ザック

スケボーの快楽は、

完全制御できることさ。

叶わない思いばかりの世の中で、スケボーだけは完全に己だけで制御できる。整然と区画された無機質な公道や歩道、時には人の敷地を縦横無尽に滑りぬける。

難易度の高いルートで成功できた達成感。

日本とUSAの行き止まりは一緒

かつては自動車産業で栄えたロックフォード。貧しい家庭に生まれ、落ち着いて学ぶ環境でもなく勉強をしたこともない、スケボーばかり。

私の通った都立高校。そこにも一見してわかるような不良はいた。額にソリ、眼光が鋭い。担任ではない社会科の教師が彼をかばうようなことを言っていたのを思い出す。彼は、1年目で学校にこなくなった。

日本にはかつて、不良がいたし、暴走族がいた。

社会が企業が退廃すると、上流域から下流域に理不尽な何かが流れてゆく。USAでも日本でも構造は似ている。

はけ口にその汚物は流し込まれ、いつしか、理不尽な親の暴力となり、その子が虐待を受ける。辛さと理不尽さを押しのけるように、自由を得たいと思う。高校で出会った退学の彼にスケボーに変る何かはあったのか?

ではドーするか?

キアーはバイトを見つけ働けるようになる。自らお金を稼げる喜び。モテ男のザックにはいつしか彼女ができる、そして子供が生まれた。

しかし、彼女との諍いが生まれる。互いに努力して幸せにしようとするが、うまくいかない。

社会が繫栄し経済が成長する日本でかつて、金属バットで親を死なせる事件があった。わたくしの住むご近所。

その病院はかかりつけ医ではなかったが、何度か通院していた。社会の繁栄が滞り経済が回らなくなることだけが、子を幸せではない方向に向かわせるのではないと思う。

根っこは深い。

解は本映画に描かれていないし政治によってもたらされるものでもない。それでも、ラストは希望を感じさせる。

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