人口が減って栄えた国なし
歴史に興味がないわたくしが、歴史から大いに学んでいる出口治明さんが気になっています。マスメディアにも登場されながらも、現在の政治風潮にも批判的。
バランス感覚があり、強欲な感じのしない自然体。立命館アジア太平洋大学の学長をされていた頃書かれたのが本書。2021年9月現在も学長をされていました。
ライフネット生命を創業後、一転して変身するように大学で若者の教育に携われ、生涯現役の見本のように感じます。
歴史から学ばれた出口治明さんは本書後半で言われていて胸に響きました。「日本では人口が減少しています。人口が減って栄えた国や地域はありません。」
日本に限ることなく先進国になると少子化になる傾向はあり、中国は日本以上に深刻な人口減少が起きることが統計上わかっています。人類が栄える、ということの沸点に今あるということなのか?
もしかすると、「栄える」という定義を変えた、新しい価値観で幸福感を評価する基準を作ることができていないから、旧来からの評価でそのような判断になるのかもしれません。
メルケル首相の英断
社会保障、社会保険を作ったのはドイツの首相ビスマルク。日本ではパートやアルバイトには社会保険の適用制限があります。
日本では、中小企業であっても社会保険に加入しています。けれど、基本給与額をかなり低く設定して会社の保険料を抑える傾向がある。パートやアルバイトが厚生年金保険に加入できないのが現状。
ドイツでは2003年、当時のシュレーダー首相が、中小企業に対しても、こうしたパートやアルバイトの社会保険適用をするよう保険制度の大改革を実施しています。
これに対して、ドイツの中小民間企業が大反発。結果、シュレーダー首相は選挙で敗北し、そこでメルケル首相が誕生してゆきます。
シュレーダーの政策は私の対極にある。
ただし、個人的には政治家として、シュレーダーを誰よりも尊敬している。
最も尊敬している政治家が、政治生命をかけて行った政策をいじるつもりは毛頭ない。
首相就任したメルケル首相はそう言って、シュレーダーの社会保険改革を引き継いだ。そして、EU随一の強靭な経済システムをドイツにもたらした。すごく良い話しですね。泣けてきます。
諸葛孔明はリーダー最低
出口治明さんが考えるリーダー像は、時の政権奪取というところにありません。当時の民衆の生活をいかにして豊かにしたか?
この仕事こそがリーダーの役割だと言います。リーダーの才覚で豊かになったり貧しくなる、ということが当たり前に言われることがあります。
けれど、人口が増加してゆけば、大きな間違いをしないだけで経済は成長するという考え方もあります。藻谷 浩介さんの「デフレの正体 経済は人口の波で動く」という本を読むと良くわかります。
日本の戦国武将であれば、出口治明さんは織田信長を評価しています。貿易の奨励と関所の廃止、楽市楽座の設置によって経済を豊かにしたからだそうです。
中国の三国志で人気なのは諸葛孔明。彼は、歴史に名を残したいがため、勝てない戦をし国を貧しくさせた。
国のリーダーとは、民衆にご飯を食べさせ、経済を盛んにさせる人。今の日本のリーダー選びは一部の人に都合がよくってたくさんの弱者が大切にされていない。なんとかならないんでしょうかね。
介護要状態になったらどうする?
アントニオ猪木さんが介護施設でしたか病院に長期入院されていて、回復して退院されたそうですね。このコロナ渦、私はyoutubeで、昔懐かしいプロレスの試合をよく見ていました。
ジャイアント馬場さんがアントニオ猪木さんとタッグを組んでいる試合をテレビで見たのを覚えています。さすがに力道山は知りません。
当時の世界ヘビー級の王者だったボクシングのモハメドアリとの対戦をしたアントニオ猪木さんは、少年期の私のヒーローでした。そんな方々の要介護になる時があるのだと、アントニオ猪木の最近の動画をみて悲しく思っていました。
出口治明さんは、そのようにご自分の要介護状態と向き合う準備をされているのか?
生涯現役で毎日頭と体を使っていれば、たぶん、介護状態にならなくて済むハズだ、と出口治明さんは言います。
万一、要介護になっても心配しない。介護保険の範囲内でなんとかやりくりすれば済む。
明解ですね。
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