ZERO DAY 山田敏弘著

読書とその周辺

すでに物理的戦争は本質的に終わってる

ロイター通信、ニューズウィーク勤務歴のある国際ジャーナリスト山田敏弘氏の未来予測とノンフィクションの事故の真相で表に現れにくいネットの深層を知ることのできる必読の1冊。

中国とUSAが依然キな臭い。この数か月前には、表にでていないが、台湾有事を危惧するジャーナリストは少なからずいた。今は収まったようだがネット情報ではいまだに煽っている様子。

戦争というイメージ。大体似たようなイメージだと推測します。

東京オリンピックでは上空をブルーインパスルという戦闘機が舞った。戦車・空爆・ヘリコプターからのパラシュート部隊、ミサイル攻撃。

こうした物理的な武器で大戦争は行われない。では、今日の戦争とはどうのようなカタチなのか?

デジタルデータを操作するサイバー戦争こそが、21世紀以降に起こる戦争だと本著は教えてくれる。

ゼロデイとは?

パソコンがウイルス感染したことがあるだろうか?

私は2度、狙われたことがあります。戦争ではなくネットのセキュリティーのお話。もちろん、私はセキリティーソフトを購入してインストールし毎日最新化しています。

ところが、カード決済会社から突然電話があり、詐欺被害目前でカードを停止しているという連絡。世界中で発見されたウイルスは情報共有され即座に対策されている。

パソコンソフトなどの欠陥は今でももちろん複数存在しており、そこを攻めて犯罪が行われる。いまだ、一般的に発見されていない、セキュリティーの扉を開ける鍵のことを「ゼロディ脆弱性」という。

このセキュリティーホール=ゼロディ脆弱性を略して「ゼロディ」と言います。解明されたゼロデイは、使用されずに温存される。

なぜならば、サイバー攻撃の武器になるから。公に知られていないゼロディは日々開発されており、サイバー兵器として高額で取引されている。

サイバー戦争の現在

イランの核施設がサイバー攻撃により引き起こされたことを本著で私は初めて知りました。

中東にとどまらず、2014年にはドイツで、製鉄所がハッキングされ、溶鉱炉のコントロールシステムが不正操作されたこともある。

中国のタイタン・レイン、米国のNSA、イスラエルにロシア。こうした国々が現在のサイバー大国と言われている。

2015年に日本では、日本年金機構がサイバー攻撃を受けて情報が漏洩する事件が起きた。その後大きな問題は発生していないように見える、思える。

手に入れたデータを将来的なサイバー攻撃に向けて有効に利用する。一見地味で、目的がよくわからない事件こそが、大きな脅威となる、と山田敏弘さんは言います。

自動運転の死角

現代の自動車は、一昔前と大きく様変わりした。精密機器の寄せ集め。本質的には、馬車のようなもの乗り物ではなく、動くパソコンと表現するのが正しい。

その自動車。誰のものか不明でありキーもない状態で、いとも簡単にハッカーはハッキングできる。あるジャーナリストは目の前で、それを見たことがあるという。

高齢者による車の暴走がニュースになることは少なくない。すべてのニュースは運転ミスと報道する。第三者が検証しているようでもない。

これまで、当たり前として見てきたニュース。

本著を読むと、違った視点で見ることができる。推論をして仮説を増やし、自ら検証してゆくと、真実が見え出し、深層の真相がわかるでだろう。

車の自動運転技術は世界中で進んでいる。便利になる。車いすのような感覚で車が利用できれば、老後の楽しみは尽きない気がする。

けれど、電子機器の不具合とハッキングという新しい問題もついて回るだろう。

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